アウトプット指向であるということ
私達は日々、何のために情報を集めるのでしょうか。それは何かをアウトプットするためです。多くの場合、人は新しい情報をきれいに整理されたフォルダに放り込むだけで満足してしまいます。これはアウトプット指向ではありません。言わば「インプットのためのインプット」になってしまい、巨大な情報の貯蔵庫の他には何も生み出しません。貴方がしたいのは、そんなことでしたっけ?*1
筆者もまさにブックマークやTwitterのLikeを死蔵しがちなので、膨大な「後で見る」リストをどのように整理すべきかについては、半ば解決を諦めていました。今回から数回に渡って、Tiago Forteの提唱するPARAという分類法の力を借りて、この問題に挑戦しようと思います。
*1: もちろん、何も目的意識のないところへ、見聞きした情報が刺激となって何かが生まれることもあります。創造的であるために、必ずしもアウトプット指向である必要はありません。けれどもこれは別の物語、いつかまた、別の時に話すことにしましょう。
PARAで行動本位の情報整理を行う
Tiago Forteは、その著書 “Building a Second Brain” でこのような考え方にもとづき、情報を整理する方法を教えてくれています。彼は「アウトプット指向」と言う代わりに「行動本位の整理法(action-based organizing system)」という言葉を使い、PARAという整理法を提唱しています。
ここで初めて、プロジェクトと言う言葉が大きな意味を持ちます。PARA の P は Project の略です。
プロジェクトとは何か?
ここでは個人のプロジェクトについて考えます。プロジェクトとは何でしょうか。例えば、以下の事例はプロジェクトでしょうか?
- あしたの授業の準備
- 来週のミーティング用の資料作成
- 来月締め切りの論文
- 年度末までに引越さなくちゃ!
上記のいずれも、プロジェクトと呼んでも問題なさそうです。Tiago Forteの定義を見てみましょう。
プロジェクトとは(らいけんによる意訳)
- いま作業中の、短期間の取り組みのこと
- さらに理想的には、以下の2つの特徴があること
- 開始と終了があり、一定の期間を経て完了すること
- 「プロジェクトが完了した」と言えるための明確な成果物があること
ここで重要なのが「締切」と「明確な成果物」です。この2つがない仕事はいつまで経っても片付きません。まずは「あれも、これもやらなきゃ」という漠然とした現状認識から一歩踏み込んで、プロジェクトとして作業を切り出すことが決定的に重要です。
なぜなら、それができて初めて「いま自分はどのプロジェクトの作業をしているのか」という意識が生まれ、ようやく進捗状況や優先順位について考えることができるようになるからです。
プロジェクト本位の取捨選択
Tiago Forteが提唱する「行動本位の情報整理法(PARA)」とは、すなわちプロジェクトを念頭に情報を取捨選択する、ということです。
言い換えると、「これは役に立つ情報だからとっておこう」と思う時、いったいそれが「現在進行中のどのプロジェクトの役に立つのか」という視点で具体的に考え、未来の自分の役に立つように取捨選択し、整理しましょう、ということです。
あるプロジェクトにとってその情報が必要かどうかを考えるだけで、もう2度と見ることのないような無駄な情報を溜め込んでしまうリスクを減らすことができます。そして必要な情報はそのプロジェクトのフォルダに保存することになるので、後で「あのファイルはどこにあったっけ」と探すことがなくなります。
でも、捨てたくない情報もあるし
いま進行中のプロジェクトでは必要ないけれど、将来的にきっと役に立つから保存しておきたい、という情報もあることでしょう。次回は、そんな時に便利な 「プロジェクト以外」の分類方法についてご紹介する予定です。
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