生成AIの基礎知識 〜AI時代の新常識〜

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ChatGPT登場からわずか1年で、世界が大きく変わりました。

急激な革新が続くAI時代に適応するための第一歩として、基礎的な知識理解が重要です。今回は、生成AIを利用する上で重要な前提知識やよくある誤解について、やさしい言葉で簡潔にまとめました。この程度の知識理解が現代を快適に生きるための常識となった感がありますので、ぜひご一読ください。

生成AIとは

生成AIとは、高品質の文章、画像、音声などを生み出すことができるAIのことです。

教師あり学習とは

「教師あり学習」は、コンピュータに物事や意味を教えるための手法のひとつです。生成AIもこの方法で学習しています。

例えば、コンピュータに大量の犬の画像を見せて「これは犬だ」と学ばせたり、大量の文章を読ませて文脈や語彙の前後関係を学ばせたりすることで、コンピュータが犬の見た目を認識したり、文章を読み書きしたりできるようになります。

なお原語は ”supervised learning”(スーパーバイズド・ラーニング)なので、職業としての教師は関係ありません。

LLMとは

生成AIのうちテキストを操るものを言語モデル、中でも大規模な学習を行って高い性能を実現したものを大規模言語モデルと呼びます。「ラージ・ランゲージ・モデル」なので、略して「LLM」と呼ぶことがあります。

OpenAIの開発した「GPT-3.5」や「GPT-4」、Googleの「PaLM 2」や「Gemini」は、いずれも教師あり学習を使って学習した大規模言語モデルです。

言語モデルは、あるテキストの次に来る語句を予測することができます。例えば「私の好きな」という不完全なテキストがモデルに入力されたとしましょう。

私の好きな

言語モデルは、この次に「食べ物は」や「音楽は」のような言葉が来ることを予測して、適切な語句を付け足します。

私の好きな食べ物は

「食べ物は」を付け足したので、今度はその先を予測し、新たな語句でテキストを続けます。

私の好きな食べ物はカレー
私の好きな食べ物はカレーです。

このように、LLMは予測と拡張の作業を繰り返すことによって文章を生成します。

ChatGPTはLLMではない?

多くの人々が、AI「モデル」と、それを応用した「製品」の区別ができていないようです。これは例えば、自動車を指さして「エンジン」と呼ぶような感覚の人が多い、ということです。

ChatGPTは大規模言語モデルを応用した製品の名前であり、LLMそのものではありません。ChatGPTやBardのようなサービスを呼称するための一般名詞は「AIチャットボット」です。LLMはこの文脈では製品名ではなく、ChatGPTやBardが利用している「モデル」、つまりGPT-4やGeminiのことを指します。

  • AIチャットボットの例:ChatGPT、Bardなど
  • 大規模言語モデル(LLM)の例:GPT-3.5、GPT-4、Geminiなど

このような混同や語彙の誤用は珍しいことではありませんし、カジュアルな文脈ではChatGPTをLLMと呼称しても特に問題はありません。いまだにインターネットとはWWWのことだと思っている人もいるでしょうし、ブロックチェーンとはBitcoinのことだと思っている人も、またAIとはChatGPTのことだと思っている人も非常に多くいることでしょう。すべて間違いですが、説明できますか。

ここで重要なことは、分かっていて敢えてそう言っているのか、分かっていないからそう言っているのかを見分けられるだけの知識理解があるかどうかです。特に教師や指導的な立場にある人には「厳密にはこういうことだ」という正確な理解が求められます。

モデルとは

そもそもモデルとは何なのでしょうか。日本語では模型のことですね。何かを模しているもののことです。大規模言語モデルは、何を模しているのだと思いますか。

モデルについて理解するために、まず「AIとは何か」を考えてみてください。AIとは何ですか。

AI(人工知能)とは

AIは人工知能と訳されることは皆さんご存知でしょう。では人工知能とはなんでしょうか。

人工知能とは、人間の知性を必要とするタスクを実行できる機械、またそれに関する非常に広範な概念のことです。その中でいま注目されているのがLLMというだけであって、LLMこそがAIなのだというわけではまったくありません。

ですからAIの世界におけるモデルとは、人間の知性を模したもの、端的には人間の頭脳の模型であると言うことができます。近年では「デジタル・ブレイン」という言い方をする人もいるようですが、AIとはもっと広い概念なのでデジタルである必要もありませんし、脳を模したものである必要もありません。人間の知性を再現できればよいのであって、水車と歯車で動く機械でAIを開発しても(大変でしょうが)何の問題もありません。


いかがでしたか。以上のような知識は、今後も予想される急激な生成AIの発展に我々が適応していくためにも非常に重要な基礎となることでしょう。ぜひ疑問を解消できるまで学んでみてください。

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