ChatGPTが大きく注目されていますが、今回はそれ以外の便利な3つのAIチャットボットを比較してみました。それぞれのAIチャットボットの特徴や利用感についてご紹介します。
Bing Chatはウェブ検索一体型
マイクロソフトが開発した検索エンジン一体型のチャットボットです。言語モデルにはOpenAIのGPTを使っていますが、マイクロソフト独自の拡張が施されているようです。ウェブ検索結果から情報や答えを提供するだけでなく、高度な創造的コンテンツも生成することができます。
検索エンジンと連動できることのメリットは、最新の情報を参照することができるということです。現時点でChatGPTは2021年時点までの知識しかありませんから、これは大きな利点と言えるでしょう。
Bing Chatは本稿執筆時点ではプレビュー版の利用申込みをした人だけが利用可能です。こちらのリンクから申し込みできます。
会話のスタイルを選択できる
Bing Chatでは以下の3つの会話スタイルを選ぶことができます。
- バランス型:デフォルトのスタイルで、大抵の場合はこれで良いでしょう。
- 正確性重視:大型言語モデルは「幻覚を見る」と言われており、間違ったことや事実でない情報も生成してしまいます。それをできるだけ抑制して会話してくれるモードです。
- 創造性重視:ある程度の正確性を犠牲にして、もっとクリエイティブに文章を生成します。創作をする時や、他のスタイルだと情報が不十分なときに使うと便利でしょう。
会話をふくらませるアイデアを提案してくれる
「何を質問しようかな」と思ったときに便利な機能で、毎回3つぐらいの質問の候補を挙げてくれます。
Bing Chatを使ってみた感想
全体的に、Bing Chatを使うと結構ストレスを感じる場面が多いです。それだけChatGPTが優秀だということと、マイクロソフトの創意工夫が空回りしていると言えるのかもしれません。
- 検索をしてから回答するので、待たされる
これは結構イライラします。GPTが既に持っているはずの答えが欲しいときでも、ウェブ検索が終わるのを待たなくてはなりません。 - 一度に会話を続けられる回数が決まっているのがイヤ
最近10回までやり取りできるようになりましたが、それまでは6回とか8回で、質問を続けていると途中で会話を打ち切られることがよくありました。 - けっこう余計なことを言う
自然な会話をしようと努力しているのは分かるのですが、別に言わなくても良いセリフが結構あります。 - 読みにくい
明示的に「表を書いて」などと言わない限り、箇条書きも表も書いてくれないので、けっこう読みにくいです。読みやすくフォーマットし直してもらっているうちに会話が打ち切りになるとムカつきます。笑
YouChat:ウェブ検索「並列」型?
YouChatもBing Chatと同様に、検索エンジンと一体型に見えますが、実際は少し異なります。まずYou.comという検索エンジンを中心としたウェブサイトがあって、そのメニューの中の1つとしてチャットボットが選べる、という感じです。
YouChatの利用はこちらからどうぞ。
チャット機能とウェブ検索は別々
YouChat自身が「私はAIなのでインターネットへのアクセスがありません」と回答しています。Bing Chatのように、検索結果に基づいた回答はできません。
ただ、チャットを始めるとその話題に関連したウェブ検索結果が周りに表示されるので、なかなか便利です。アイデアを出したいときに便利な気がしますね。
独自のAI技術
YouChatはGPT-3ではなく、独自のAI技術を使っているようです。試しに「イーロン・マスクが危うく従業員から訴えられそうになった小話を書いて」と頼んだ所、さらさらーっとそれっぽい話を書いてくれました!
これは作り話ですが、面白くしようと思ってイーロン・マスクを悪者にした脚色を入れようとすると、回答を拒否されてしまいました。たちの悪いフェイクニュースのようなコンテンツを作らないように抑制されているようです。
日本語の利用に難あり
筆者が試した限りでは、日本語のプロンプトを与えても回答はすべて英語でした。日本語の指示内容は理解できているようですが、英語で指示を与えた場合に比べると、回答の質が落ちるようです。
その他の特徴
ChatGPTに似た、チャット履歴表示の機能があります。また、シェア機能があるのもポイントです。
Poe:ChatGPTも使える高速なプラットフォーム
PoeはQuoraが提供するAIチャットボットアプリで、複数のAIチャットボットと会話することができます。独自の言語モデルを持っていないようですが、現在、ChatGPTをはじめとする4つの言語モデルが使えます。
Poeは以下のリンクからユーザー登録できます。
Poeで使える4つの言語モデル
Poeでは以下の4つの言語モデルを利用できます。
- Sage
- ChatGPT
- Dragonfly
- Claude
それぞれの言語モデルの特徴を、ChatGPTにまとめてもらいました。内容の真偽については未検証ですが、この表の作成まで、すべてChatGPTが行っています。
機能 | Sage | ChatGPT | Dragonfly | Claude |
---|---|---|---|---|
学習データ | 複数のウェブテキストと学術文献から得た100億以上のパラメータ | 複数のウェブテキストから得た175億以上のパラメータ | カスタムのデータセットから得た350億以上のパラメータ | 科学技術分野の選定された文書から得た12億以上のパラメータ |
言語モデル | GPT-3 | GPT | カスタム | カスタム |
推論能力 | 高い | 高い | 中程度 | 高い |
自然言語理解 | 高い | 高い | 中程度 | 高い |
自然言語生成 | 高い | 高い | 中程度 | 高い |
オープンソース | いいえ | いいえ | はい | いいえ |
特徴と能力 | Sageは高度な推論、自然言語理解、生成能力を備えた強力な言語モデルです。幅広い自然言語タスクを実行し、複雑な会話にも対応できます。 | ChatGPTは、高度な自然言語理解、生成能力を備えた広く使用されている言語モデルです。言語翻訳、要約、質問応答など、さまざまなNLPタスクによく使用されています。 | Dragonflyは、テキスト分類と自然言語理解タスクに最適化されたカスタム言語モデルです。分類タスクでの高い精度と効率を誇ります。 | Claudeは科学技術分野に特化したカスタム言語モデルで、選定された技術文書を用いてトレーニングされ、高い精度で技術用語の理解と生成ができます。 |
Poeはとても高速
Poeはおそらく現在、もっとも高速なAIチャットプラットフォームであるとされています。有料版並に高速なChatGPTを無料で使えるので、非常におすすめです。
後発の利を活かしたPoeの「いいとこどり」機能
Poeは、Bing Chatを意識したような「質問の候補を提示する機能」や、特定の会話結果のリンクをソーシャルメディア等で共有できるシェア機能を盛り込んでおり、ChatGPTとBing Chatのいいとこ取りをして、さらに機能追加したような、後発ならではの工夫が随所に見られます。
もともとiOSアプリからスタートしたようで、デスクトップ版やウェブ版のPoeとチャット履歴が同期できるのも便利です。
3つのチャットボットに同じ質問をしてみた
3つのチャットボットにまったく同じ質問をして、回答結果を比較してみました!
まとめ
以上、ChatGPT以外にも便利なAIチャットボットの代表的な3つを紹介しました。それぞれに特徴があり、利用目的や好みに応じて選ぶことができます。ChatGPTのバックアップとして、あるいは用途に合わせて使い分けると良いでしょう。
コメント